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青山里戦闘が強調される理由

青山里戦闘は、日本においては、そのような戦闘行為があったというエピソード程度の扱いでしかありませんが、韓国では非常に重要な歴史上の出来事です。なぜならば、大韓民国建国の理念に関わるからです。

  • 日韓併合を申し出た大韓帝国は正統性がなく、現在の大韓民国は、朝鮮王朝の系譜に連なる上海臨時政府から受け継いでいる

  • 上海臨時政府は、韓国の正規軍であり、連合国の一員として枢軸国のドイツと日本に宣戦布告した

  • 日本の敗戦後、韓国を統治したのは上海臨時政府であり、金日成が樹立した政権はは韓国北部の抵抗勢力のグループに過ぎない。

韓民国憲法には、その建国理念として、

「悠久の歴史と伝統に輝く私たち大韓国民は3.1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と不義に抵抗した4.19民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して正義・人道と同胞愛により民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和をもとに自由民主的基本秩序をより強固なものして政治·経済·社会·文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮するようにして、自由と権利に伴う責任と義務を果たすようにし、内には国民生活の均等な向上を期し、外には恒久的な世界平和と人類共栄に貢献することで、私たちと私たちの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを約束しながら、1948年7月12日に制定され、8回に渡って改正された憲法を今、国会の議決を経て、国民投票によって改正する」

 と前文で謳われています。単なるエピソードではなく、現在の政権の統治の正統性に係る重要な出来事なのです。

従って、この戦闘は建国神話として徐々に強調されるようになり、今では、日本での「桶狭間の合戦」のような大スペクタクルドラマになっています。むしろ、イザナミノミコトやオオクニヌシノミコトの、国生み神話のようなものかもしれません。